『ナショナル ジオグラフィック 世界のどこでも生き残る 完全サバイバル術 自分を守る・家族を守る 』


題名通りの本だ。chapter1、2の基礎編は一読しておいて損はない。危機に対する心構えから始まり、対空信号の出し方や火のおこし方、水の確保の仕方、食べられる植物や動物の見分け方など実用的だ。巻末には持ち物チェックリスト、怪我に対する応急処置法、手旗信号の送り方、世界の食用植物一覧など載っており一家に一冊あって良い本だろう。

ただ、この本の本当の活用法は、むしろ、目次を眺め想像を膨らませることだろう。例えば、「chapter6」は砂漠編。「世界のどこでも生き残る」の題名通りとはいえ、おそらく大半の人は、砂漠で生死をさまようことはないだろう。ただ、砂漠でのシェルターの作り方や砂漠で食用に向く植物などを読んでいると過酷な砂漠なのかで生き残りをかけている自分の姿が目に浮かび、なぜか生命力が沸いてくる。

chapter8「水上編」の「how to サメを撃退する」という囲みは、もはや想像と言うより妄想力の鍛錬になる。「サメを撃退するってどんな状況だ」という疑問は浮かぶが、ナショジオらしい淡々と無駄のない説明を読んでいると、「サメにおそわれた時のために読んでおこう」と本来は持つ必要のない危機感を抱いてしまう。そして、一読後、「これなら、俺は生き残れるな」と万能感すら抱いてしまう。

本書は単なるマニュアル本としては日本に住む限り、大げさかもしれない。だが、現代は「まさか」はない時代。あらゆる危機を想定(妄想)し、自らが限界でもだえ、それを克服する姿を本を通じて想像する力は生死のみならず様々な物事の成否を分ける重要な要素になっているのではないか。そう考えると、この本の持つ可能性は実は大きい。


−わが身を本気で守ろうと決めたら読むおススメ−


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